母のネットワークビジネスで人生が狂った話

私が高校生の頃に母がネットワークビジネス(MLM)にハマってしまいました.

20年以上前のことですが,今でもよく覚えています.

受験を控えた私と兄弟が帰宅したある日,

「おかあさん,来年には東京にマンション買うことにしたの!

お金のことは気にしなくて大丈夫!

進学は都内の私大でも大丈夫よ!

好きな大学を受験しなさいね!」

と希望に満ち溢れた表情で語ったのです.


地方在住の貧しい母子家庭で大黒柱の母は,堅実的で節約家だったので,

突然こんなことを言い出したので兄弟揃ってポカンでした.

突然どうしたのと思いましたが,半年後に受験を控えた私にとって

母がたくましくて心強く,本当にうれしかったものです.



この時,母がネットワークビジネスに足を突っ込み

いろいろ洗脳されていたとは思いもしませんでした.



当時の母の変わりようから,紹介した人(以下,フロント)から

「大学受験を控えたお子さんのためにも頑張りましょう」

と吹き込まれていたのでしょう.



高卒で資格もなく,パートで粛々とやりくりしてきた母にとって,

ネットワークビジネスで成功した人たちの話はとても魅力的に映ったのでしょう.



その日を境に母は多くの夢を語るようになりました

都内のタワーマンションに住んで,別荘を買い,

外車を乗り回して年に数回の海外旅行をするんだ,などなど



「あなたも入りたい大学があるなら声に出さないとだめよ!」

冬になって受験戦争も終盤戦になった頃,こんな精神論を語る母が

少々うざかったです.



この「思いを声に出す」もフロントに吹き込まれたものでしょう.



母が夢中になって取り組んでいたネットワークビジネスは,

アメリカに本社を構えるダイエット食品会社でした.



この頃の母は洗脳されすぎて正常な判断ができなくなっていました.

母のフロントは,いかなるチャンスも逃がしてはいけないと主張し,

フロントオリジナルの缶バッチを買わせて胸につけるよう指導していました.

その缶バッチはしゃもじ位の大きさで

「痩せたい?私に聞いて!」と書かれていました.

それをジャケットの胸当たりに着けて近所へ買い物に出かけるのが

母の日常になっていました.



正直,心配過ぎて勉強どころではありませんでしたが,

受験は待ったなしなので,気持ちを切り替えて乗り切りました.



そして無事,都内の私立大学から合格通知を受け取り,

母に合格を伝えました.



うすうす気が付いていましたが,

入学するかを書面で送るまでそんなに時間はありません.そこで

「期限まで1か月もないのに上京して私立に入学するお金が用意できるの?」

と聞くと,

「あんただってわかっているでしょ!私だって頑張ったんだから!!」

と怒鳴り散らし,泣き崩れました.



この日ほど親に絶望し,世の中を恨んだことはありません.

そして母を洗脳し,お金を絞り続けたフロントのことは

生涯許すことができません.

母が泣き崩れた日から無気力と絶望に包まれた日が始まり

私の人生は大きく狂いました.

花の都で青春を謳歌する学生生活とは程遠いフリーターの日々が始まります.



母はそれから数年間ネットワークビジネスを頑張ったようで,

数万程度の収入を数回得たらしいですが,

100万以上の投資額は到底回収することができず,

今ではMLMとは一切関わっていません.

全てのネットワークビジネスが悪いとは言いません.

そもそも大元は商品を売っているだけで,

流通にMLMを採用しているだけです.

扱っている商品は基本的に高額であり,

高い金額を払えばそれなりに良いものもたくさんあるでしょう.



問題なのは自称個人事業主の連中です.

根性論と感情論で洗脳を行って,

家族や友人といった周囲に悪影響を与えている場合があります.



あなたがネットワークビジネスのお誘いを受けているなら,

私の以上の経験を参考に,今一度考え直してください.

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